犬、人だけでなく、猫、アライグマ、キツネ、コウモリなどあらゆる哺乳類が感染します
WHOの報告では、全世界で、毎年3万5000~5万人が狂犬病により死亡しています。その発生の大部分はアジアで、主に狂犬病の犬から感染のですが、世界では吸血コウモリによる被害も拡大しています。すぐ隣の中国でも毎年約3000人が狂犬病で死亡しており、2006年には撲滅のために一部の地域の犬を全て(ペットも含めて)殺処分するという処置がとられましたが、現在のところあまり状況は変わっていないようです
日本、オーストラリア、イギリス、台湾などごく一部の島国・地域だけで、日本では1957年以降、発生していません。これは予防注射や検疫制度と、島国という環境が大きく関係しています
*危険と隣り合わせ
狂犬病の流行地であるロシアからの貿易船が多い北海道では、乗船してくる犬の不法上陸が確認されており、紛れ込んできたコウモリにも警戒しています。また、中国や韓国、北朝鮮、欧米諸国などの外国船からも、常にウイルスを持ち込まれる危険性があるのです
*低い予防接種率
現在の日本における狂犬病予防注射の接種率は、流行を防ぐために必要とされるWHOのガイドラインを遙かに下回っています。つまり、もし日本にウイルスが持ち込まれたら、あっという間に大流行する可能性があるということです
狂犬病ウイルスを持つ動物に咬まれたり引っかかれた傷から感染します
感染してから発症するまで通常1~2ヶ月の潜伏期間がありますが、咬傷部位によっては2週間~7年までの報告があります
まず、発熱や倦怠感、筋肉痛など風邪のような症状から始まり、咬まれた場所の痛みや筋肉の痙攣がみられます。続いて、不安狂躁、錯乱、幻覚、攻撃性などの脳炎症状が始まり、最終的には昏睡状態から呼吸停止で死亡します。
発症すれば致死率はほぼ100%です
狂犬病に感染した恐れがある場合は、傷口を良く洗い、速やかに病院に行きましょう。発症する前ならば、狂犬病ワクチンと狂犬病に対する抗体を注射することで、発症を防げる可能性があります。発症後は、特異的な治療法はありません
狂犬病が根絶されていない地域に行く場合は、事前に必ず医療機関にご相談下さい
現段階では、日本で犬に咬まれても狂犬病に感染する確立は限りなくゼロに近いと言えます。特に、自分の犬に咬まれた場合は、しっかりと消毒をして化膿しないように病院で処置を受ければ大丈夫でしょう。しかし、自分の犬が他人を咬んだり、よその犬に咬まれて心配な場合は、念のため保健所に相談し、狂犬病ウイルスに感染していないかどうかを調べてもらえば安心です